皆さまのおかげです!大臣賞受賞デザインの3つのポイント + 後ろ盾するエクスマ的思考
先日、第52回広告美術コンクールで国土交通大臣賞を受賞しました。
様々なモノのデザインを考えることが好き!
町工場デザイナー志賀正章です。(@NadareStyle)
当日の会場で数名の方に声をかけていただき、どんな風に考えて作ったのか聞かれる出来事がありました。
そこで、今回特に意識したデザインのポイント3つと、この3つを後ろ盾するエクスマ的思考と皆さまのおかげで受賞できましたことをお伝えしたく書いてみました。
■今回のコンクールのテーマ
・2019年に茨城県で開催される国民体育大会・全国障害者スポーツ大会を告知するポスター
■考える前の準備として
・国民体育大会、全国障害者スポーツ大会を調べる。
・スポーツ観戦する。(今回はオリンピックでした)
・選手たちの喜怒哀楽などの感情を受け取る。(自分のことのように流し込む)
・スポーツしてた頃を思い出す。(因みに僕はサッカーです)
〜 ① ストーリーを描く 〜
テーマに対してのストーリーを描きました
■僕が描いたストーリーです。
365日、ほとんどをその競技の精進についやし、やっと出場権を得た。
ここに来るまでの苦悩や喜び、愚直に練習を繰り返した日々、応援してくれた人達、恩返ししたい人達の顔、喜んでもらいたい人達の顔、友やライバルと交わした約束。
そして自分自身のため、あらゆる思いを心に宿し、今、ここにいる。
照明が切れた薄暗いロッカールームから歩き出すと、様々な感情に打たれた。
だが、歩を進めるごとに、その感情が一つにまとまっていく。
信じた道は裏切らない。
目を閉じて手を胸にあてて、何をしてきたのかを思い返した。
それは心に刻んで、踏みしめて、進んだ道。 決して一人では歩んでいない。一人では歩めない。
その道は、自身の血を吐くような努力と皆からの思いを抱き、まとい、輝きだす。
その全てを出し切り、その全ての答えを手にするために。
一つにまとまった感情は、
今、穏やかに微笑んでいる。
さあ、飛べ 羽ばたけ そして 未来へ
準備は整った。
さあ、ゆこう。
君の軌跡は
真の奇跡に昇華する。
・ストーリーに合った音楽も流れてます。(考えてる時は頭の中に常に流れています)
・サブコピーの「信じた道は裏切らない 君の軌跡は 真の奇跡に 昇華する」は最後の最後まで言葉を考え抜きました。「真」の部分はしっくりくる言葉が思い浮かんできませんでしたので空白のままでした。車の中で妻にこの部分が完成していない写真を見せてコンセプトや思いを説明して相談し、言葉のやり取りをしていった際に「真」という言葉はどう?って提案してくれました。この言葉を聞いて全身が震えるほどに僕の中でピッタリと隙間なく収まる感覚が流れました。考えて考えて妻に相談してしっくりくる言葉が生まれました。何度も言います「妻よありがとう。」てへっ。
〜 ② 感覚を大切にする 〜
■必ず表記する項目として
・指定ロゴ「2019」
・指定ロゴ「いきいき茨城ゆめ国体」
・指定ロゴ「いきいき茨城ゆめ大会」
・指定ロゴ「翔べ 羽ばたけ そして未来へ」
・いきいき茨城ゆめ国体主催者:公益財団法人体育協会、文部科学省、茨城県、会場地市町村、関係団体
・いきいき茨城ゆめ大会主催者:公益財団法人日本障がい者スポーツ協会、文部科学省、茨城県、会場地市町村、関係団体
以上、必ず表記する項目が多数あり、それぞれ色も指定されているため、デザインのセオリーだけではうまく仕上げることが難しくなります。自由度も減ります。そうなると、自分の感覚が大切になります。
自分の感覚、自分から表現されるものは過去の自分からの素材からしか出てきません。僕はデザイン、芸術だけではなく、普段の生活から、人との関わり、あらゆる事象から影響を受けています。
自分のアンテナの位置をどこにめぐらせるかで差は大きいと思いますが、あまり絞りこまずに良きも悪きもなるべく受け入れようと意識しています。その中から心に響くものを仕分けして、自分の軸となる大きな柱のオプションとして枝を生やし色々な実をつけていく、ようなことしています。そのような作業をして今ある自分自身の進行形の感覚を大切にしています。
ただ、気をつけることは、テーマのあるコンクールですので、その趣旨からは外れてはいけないように、目的はどこにあるのかを忘れないでブレずに保ち、自分よがりにならないように注意しました。過去には自分の世界に入りすぎて趣旨をないがしろにして入賞すらできない、なんてこともありました。
〜 ③ 無駄をなくす 〜
素材・質感・色彩・構図・言葉・効果・仕上がり・印象など、様々な要素が絡み合って一つの画面を作っていきます。表現したいことを伝えるためにこれらの要素が増えていく傾向があります。しかし、伝えたいことの本質を見極めて、そぎ落として、そぎ落として、細部に集中します。また全体を見直して違和感がないか、目の動線はスムーズかなどを確認し、を繰り返します。シンプルに必要最低限を選びぬいて構成し無駄をなくしていきます。
〜 +この3つを後ろ盾するエクスマ的思考 〜
エクスマとは、エクスペリエンス・マーケティングの通称です。 藤村正宏さんが提唱する『モノを売るな!体験を売れ!』・『つながりの経済』というマーケティング手法です。
今回の大臣賞は3回目の受賞になります。
1・2・3回目と心の変化がありました。
1回目は2011年、大臣賞を受賞したい一心で、求める欲求が一番高かったと思います。コンクールに挑戦して10回目の年です。それまで2位や3位はあったのですが、どうしても大臣賞が取れませんでした。その時は一生懸命考えること、考え抜くこと、どうやったら大臣賞が受賞できるのかを悩んでいて苦悩の中にいました。
2回目2013年、果たして、前回の受賞するためにしてきた事が正しかったのか、再び皆さんに共感してもらえるようなモノが創り出せるのか。前回はたまたま良かっただけ。こういったことを考えてプレッシャーを感じながらなんとか取り組みました。
そして今回2016年、結果を意識した思考がほとんどない状態で取り組んでいたと思います。正直、受賞したいのは本心なので全く意識しないことはありません。
しかし、いつもより穏やかに、いつもより純粋にこの与えられた画面の中で表現しきろうという思いが強かったと思います。表現することを味わいながら楽しんでいたと思います。これは僕にとって大きな変化です。
エクスマを知って数年、エクスマ塾からSNSを中心に色んなモノを学んで数ヶ月ですが、考え方の幅が広がりつつあると思います
物事の本質を見失わずに行動すること。
好きを追求すること。
まだまだですが、その辺を意識する感覚が少しずつですが身についてきている一つの結果だと思っています。今回のデザインのポイント3つはエクスマ的思考が色濃く強く反映されています。
そして 〜 皆さまのおかげです! 〜
皆さまのおかげです!やはりこの言葉に尽きると思います。日々、沢山の人との関わりと自然の織り成す情景から、沢山の影響を受けて様々な感情が生み出されて、感動をいただき、色々な角度から色々なモノを与えられて僕は生きています。
その与えられたモノから構成されているのが自分です。その構成された自分の一部が形として現れたのがこの作品です。自分一人では到底作り出すことは不可能な形です。
全ての皆さまに感謝し、全ての自然に感謝し、これからもお世話していただきたいと思っています!よろしくお願いします!
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